【コラム】うそをつかない

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仏教には「口の四悪」と言われるものがあります。逆をすれば心の安定が促されます。

  • 不妄語…うそをつかない
  • 不悪口…ぞんざいな言葉遣いをしない
  • 不両舌…二枚舌、だれかとだれかを仲たがいさせる言葉を言わない
  • 不綺語…思っていないことを言わない

口と言葉に関する戒めです。平成28年9月1日号No.195「五つの戒め」でもご紹介しています。

4つを詳しく見ていきます。

◆不妄語…うそをつかない

うそとは、なにより不安を引き起こします。

うそをうそだと発覚させないために、うそを重ねていくことがあります。どのようなうそを言ってきたか覚えていなければいけませんし、論理破綻のないように気を付けることは大変に疲れることです。また、自分の発したうそが、あとでどのような事態を引き起こすのかと心配し、そわそわしてしまう。いいことが一つもありません。

◆不悪口…ぞんざいな言葉遣いをしない

だれかをののしるような言葉を発しない。ぞんざいな言葉遣いをしない。

言葉に純粋な思いが乗っている方は、身目も美しい。耳ざわりがいいですし、話を聞こうと思うものです。べらんめえ調は違います。相手に対して和のこころが見えないならば。人をあなどる姿勢が見えるならば、一緒にいようとも思えない。なれば孤独が深まります。

◆不両舌…二枚舌、だれかとだれかを仲たがいさせる言葉を言わない

矛盾したことを言わない。仲たがいさせるようなことを言わない。

彼と彼は仲が悪い、仲がいいというような、他の友好関係についてそもそもお話をしない。

◆不綺語…思っていないことを言わない

ことばでもって飾り立てて、いつわること。軽口。

思ってもいないのに、ほめそやす。SNSで「いいね!」をする。つらつらと口から出る言葉につられて、よけいな言葉も出てきます。


 

「口の四悪」妄語・悪口・両舌・綺語とは、まわりはもちろんのこと、ことのほか発した本人に強く影響します。悪因苦果と申しますが、悪い原因となって、本人の苦しみへと実を結びます。

落ち着かない。不安になる。(言い訳が、人と会うことが)苦しい。疲れる。

しかし、逆に妄語・悪口・両舌・綺語を守っていれば、良因楽果、良い原因となって、楽の道となります。

うそいつわりのない日常を送ることは、気持ちが落ち着きます。だれかに脅かされることも、心配もない。安心して暮らすことができる。いつ何時、自分のうそが露見しまいかとビクビクしない。

うそを上塗りする手間も、あちらを立ててこちらを立てて…のうそを思い出す時間も、精神的な消耗もなくなります。疲れません。

嘘をついてしまったならば、雑な言葉遣いをしたら、素直にごめんなさいをすればいい。

わたしもうそを言ってしまいます。きっとそれは、自分の非を認めたくない気持ちがあるからです。「うそを言わない」と決めていれば、ここに気づくことができます。身体・口と意識・こころのズレに、なるべくはやく気づくことができ、訂正ができ、楽の道に軌道修正できる。

また、「うそを言わない」でいられた毎日を確認できることで、自信がつきます。小さなことですが、精神的な体力につながり、忍耐力(レジリエンス)となりましょう。

さらには、妄語・悪口・両舌・綺語によって振り回されることがないことから、精神的な余裕が生まれます。パソコンでいうメモリに空きができて、脳の回転がよくなる。自分がしたいことに集中できたり、他人のお気持ちをくみとろうとすることもできるでしょう。

自分でコントロールできる、身体での行い、口からでる言葉、意識で思うこと、これらを仏教の「三密」といいます(身口意)。

新型コロナウィルス感染症の感染を避けるための3つも「三密」(密封空間にいる、密集する、密接する)といいますが、仏教の「三密」はこれ、仏の身口意の行いです。

そんな仏の行いを参考に私たちが日々を暮らしていくことを「三密行」といいます。つまりは身口意をととのえることです。そして心の安定につながります。

口は災いのもとと言いますが、思っていることが口から言葉として、表情や身体の行動にポロッと出てしまう。そんな身体での行いや、こころに思うこと、口から出る言葉を調えることも大切なようです。

口に出さなければ、こころに思うだけならばどんな罵詈雑言も投げかけていいかといえば、そんなことはありません。受け止める人がいない言葉は自分に返ってきます。この護寺会だよりを書きながら、「では自分はどうなのか」と反省しています。

暑さ寒さも彼岸まで。暑い日が続きます。日中の気温が高いのならばクーラーを使うなど熱中症対策が必要です。人という生き物は、まわりの環境をととのえなければ苦しいことになってしまうようです。どうぞみなさまご自愛くださいませ。

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