【ご報告】職場体験受け入れ、【コラム】400年

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【ご報告】職場体験受け入れ

令和5年12月中旬、江東区立有明西学園の8年生が陽岳寺にて職場体験をしました。朝9時から午後3時まで、を3日間。真面目に話を聞いたり、坐禅をしたり、宿題をしたり、頑張ってくれました。

【コラム】400年

「町のお寺に職場体験」とは、何をするのか不思議に思われるかもしれません。

小売業たとえば町のパン屋さんは分かりやすいものです。働くとは具体的にどういった行為をするのか?パンを作ったり、レジに立ったり。では、誰にどう感じてもらえたらパン屋として成功なのか?多くの人にパンを食べておいしいと思ってもらえたら事業成功といえるのか、半径500mの居住者をファン化したら成功か。

一般企業の職場体験もあったようです。電話応対や来客応対のマナー研修や、その企業がどのような仕事をすることで社会貢献につながっているのか?を学ぶ。

◆職場体験の意義

この「職場体験」の意義、醍醐味とはいくつかあるでしょう。

ひとつ「人はみな何かしらの仕事をしていて、尊い存在だ」という他者への敬意が生まれること。将来自分が大人になって働く時、家事育児をしている時、コンビニで店員さんと話す時、親が仕事に向かう姿勢に触れる時。他者を軽んじていいわけがない、という基本的尊重が心に備わる。

ひとつ「その町に住んでいる人やお店が元気でないと、町も元気ではない。逆もまた然りである」そして「店舗や企業や個人事業主はそれぞれに、なにかしらの想いをもって活動しているし、こうなったら成功という一定の条件もある」と知ること。

神社やお寺も同様で、地縁、有縁無縁みなが元気でないと、お祭りもできません。

その地域にどんな人が住んでいるのかを知り、どんなことを考えて行動しているのか。その地域そのものを知る。日本を知り、世界を知り、そして自分を知ることにつながっていく。

今回、中学生には事前に宿題を渡しました。

  • 陽岳寺について調べて、質問する
  • お寺は、誰が、どんなことをする場所だと思うか
  • お寺は、誰に、どんなことを考えてほしくて、なにをしていると思うか

職場体験の後にも、同じ質問に答えてもらいました。お寺や深川の町へ3日間通い、変化があったようです。

◆自灯明と法灯明

仏教のはじまりとなった人、お釈迦さまは「自灯明、法灯明(自らを灯明とし頼りとせよ、教えを灯明とし頼りとせよ)」と言います。明日なにが起きるか分かりません。誰もがこの先の人生に明るくない。道を進むとき灯明が要る。吹けば消えるような灯明もあれば、油を自家製作できる灯明もある。「自灯明、法灯明」は後者である。

「自灯明」自分だ!オレだ!と主張するこの小さな肉体がある。まわりと繋がっている出発点として、この私がいるのだと思う。すると、まわりの人の幸せ、苦しみや悲しみを自分のことのように察する心に気づく。その心こそ、本当の自分であり、頼りとすべき自灯明の“自”。小さな肉体とまわりを照らす灯明です。

「法灯明」法とは、普遍的な事実、世の仕組み。空間や時間や地域や民族を超えた原理原則のこと。

私たちは毎日、瞬間瞬間に自己判断をしています。これでいい!これしかない!と自分だけの考えで行動している。

眼で見て、耳で聞いて、鼻で嗅いで、舌で味わい、身で触れて、意識に思う、この小さな肉体を基本にして決めている。上司に相談したり、過去の成功体験や失敗をもとに判断している。

それが普通かもしれない。しかし、それではブレが激しい。ブレない軸を基準にすれば揺れが大きくなく、振り回されない。すなわち、この宇宙、この現世の原理原則を頼りとすれば、この先が明るくなくとも、なんとか生きていけると言うのだ。

そうは言ってもなかなかうまくはいかないものです。「自灯明、法灯明」を腹の底から、そうだなと承知する機会を定期的に取りたい。

◆これまでの400年、これからの400年

陽岳寺の開基は、向井左近衛将監源忠勝です。今川家、武田家、徳川家と戦国時代に三家に仕え、彼ら大名を海上から支援した水軍でした。令和の現代でも海難水難は絶えませんし、江戸時代は言わずもがなです。小さな船に乗り大波小波に揺れて仕方ないけれども、大海原の上で自分の仕事をやりきる。本来の力を発揮するために禅の心「安心」が要ったのだと考えています。

ここで言う大海原を現代社会と読み替えてみます。小さな葉に乗り、大海原を旅する私たち。向井水軍のように、禅の心「安心」をもって進めたら…。

1637年に創建された陽岳寺。約400年深川の地を見守り続けてきました。禅の心「安心」について、そうだなと承知する機会を定期的に取れるような工夫を続けてきました。そして、これからも。

名前を変え、形を変え、護寺会便りは1984年5月から続いています。門前の掲示板に今月の言葉を掲げています。

お寺の本堂で費用を抑えた通夜葬儀ができる。日本語の法要のお勤めや、戒名法号の説明文をお渡ししています。申し込み不要のお彼岸法要やお盆法要、お施餓鬼と祈祷会という2つの年中行事がある。

本堂に無線LANが飛んでいますので、LINEなどのテレビ電話や、Zoomで法事を生配信することができます。また法事を撮影、編集して、動画視聴サイトに限定公開。時間差のある場所に住むご家族にご視聴いただくことも可能です。

オンライン坐禅会とお題法話、YouTubeチャンネルを続けています。

現地開催の禅体験、企業研修。出張での開催。学校でもない、職場でもない、家でもない、あなたの居場所としてけん玉やボードゲームを遊ぶ会がある。どうしようもない人間の様を笑い飛ばす落語会がある。

まわりが結婚していて焦っている方。結婚したいけども、具体的に何をどうしたらいいか分からない方。真剣に結婚したいという方。住職が責任を持って一緒に考える、『門前仲町 下町結婚相談所』がある。

家族墓、ペット用墓、合同納骨墓がある。また現在、ご夫婦ご兄弟親子など、おふたり専用の永代供養を備えた個別納骨墓(二霊墓)も検討中です。

カードやサイコロを使ったおもちゃの次は、寸劇の体験を製作予定です。

職場体験に来た中学生に言いました。お寺はパン屋さんと違って、物を売っていない。君たちがお寺とは?仏教とは?を周囲に話してくれて、本当に職場体験をした、ということになるんだよと。

これまでと、これからの400年を踏まえて、今を大切にしたいのです。(住職)

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