【えんぴつ写経】法句経その2

投稿日:2023年6月1日 更新日:

【お知らせ】お施餓鬼を厳修

5月20日、令和5年度陽岳寺山門大施餓鬼会を厳修しました。ご参加、ご参列いただきました皆さま、ありがとうございました。

【えんぴつ写経】法句経その2

円覚寺の横田南嶺老師もえんぴつで書く写経をおすすめしております。

今回は、仏教のはじまりとなった人、お釈迦さま。その言葉に近いと言われる法句経のひとつをご紹介します。

◆法句経その2

友松円諦氏による訳、法句経348です。

意訳「過去・現在・未来、いずれをもすてるがいい。これらへの執着を離れることこそ悟りへの道である。いかなるところにも執着を離れ、自由なこころでいるものは、解脱・成仏する。」

「すてる」と聞きますと、ゴミ箱へ投げ入れたり、くしゃくしゃにして顧みないような気になります。執着を離れるという意味です。

存在と書いてまよいと読ませますが、私たち生きとし生けるものが、執着を離れれば、彼の岸すなわち悟りを得られる。もういろいろなことに迷わされることのない事態になる、と…この法句経は示しています。

「生と老とを再び受けざるべし」生まれ変わり死に変わりの堂々めぐりからの脱出を仏教は志します。その輪廻から解脱できるという一文ですが、執着の輪廻からの解脱とも説明できます。

護寺会便りNo.285【コラム】一本の矢〕にも書きましたが、人間生活にいる「私」のなかで起きている事実が「輪廻」ではないか。その輪廻を十二の順番に説明する「十二因縁」の最後の2ステップに生・老死があります。ものが欲しいを例にして説明するとしたら、「生(なにかを渇望し、それを手に入れた私がいて)」「老死(あれだけ渇望し苦労して手に入れたのに、それを持つのが当たり前になっている)」を再び受けざるべし、がこの部分です。

欲しい欲しい、手に入れた、それが当たり前になった。また別が欲しい欲しい…この繰り返し・輪廻がある。しかし解脱すれば苦しめられることはない、ということでしょう。

◆解脱:外からの視点を持ってくる

解脱や執着といった仏教語は身に迫りませんでしょうか。

実はわたしたちは何事かに執われている。その執われから抜け出したいともがいています。ここに気づきたい、悟りたいのです。

私たち生きとし生けるものは勝手にこの命を与えられてしまっています。絶対なる創造主がいるか不明ですが、とにかく生きていくしかありません。家事に育児に仕事に、日々が飲み込まれています。1日の余り時間、人生に残された時間について考えたこともない。生きがいをもって生ききりたいものですが、毎日が必死でそれどころではありません。すこし時間と場所をとって、余裕のある休みを取りたいものです。

学校生活、仕事場やアルバイトであれば、休み時間が設定されていて、強制的に遊びの時間が取れる。休むことができるでしょう。しかし、この「自分」の人生の時間割には「自分」ばかりが書かれている。必死に自分で自分の人生を生きているからこそ、「自分」から離れることができない。

そこで強制的に遊びの時間・余裕をとって、自分と向き合う機会を取ろうとするのが私たち人間です。ただし、それらの機会とは本当に「自分」から離れているのでしょうか。「生きている」「この世」から離れているのでしょうか。

解脱:外からの視点がなければ、本当に「自分」から離れることにはならないのではないか。休みにはならないのではないか。

◆死者を呼ぶ:法事、お墓参り

実際に命をなんとかして、「生きている」「この世」から離れるわけにはいきません。仏教では傷つけてはいけない、傷つけさせてはいけない、とされています。

ではどうすればよいか。生きている世界から離れた世界より視点を持ってきましょう。

お墓参りをする。7回忌の法事でお焼香をして、手を合わせる。大空の下で目を閉じる。いまの私を故人が見たらどう思うだろうか。生前の故人の姿を思い出す。仏となってからどうしているだろうかと考える。…をしてみたらどうでしょうか。

必死で生きているからこそ、こだわっていること、つらいこと、に気づくことができない。この堂々巡りのループから抜け出すことが難しい。

ひとつには、外からの視点を持ってくることです。過去・現在・未来の姿を捨てるべし。無かったことにするのではない、執われから離れる。ここを踏まえて、活かしていくことを示しているのでしょう。

◆えんぴつ写経おすすめです

えんぴつ写経は、筆よりも書きやすく、失敗してはいけない!という気持ちも湧きません。使うと短くなるので達成感もあります。えんぴつ写経おすすめです。

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