【コラム】絵御朱印

投稿日:2024年3月1日 更新日:

《住職の一言》

コロナ禍となってから、お彼岸のお塔婆について往復はがきをお送りしていました。今回は護寺会便りに同封しました。「お彼岸には塔婆を建ててお墓参りをする」「年中行事には参加をする」「人が亡くなったら葬儀をする、法事をする」すべてをしていたらキリがないと思われるか、そもそもご存じないのか。試されているなと思います。

【コラム】絵御朱印

みなさまは「御朱印(ごしゅいん)」を集めていますでしょうか。御朱印とは信仰の証となるものです。本来、お写経をお納めした証明でもあったといわれます。

深川には、七福神であったり、多くのお寺であったり、御朱印スポットが多くあります。多くあるということは、いただきたい気持ちのある方々が門前仲町界隈を歩いて回っていらっしゃるということ。陽岳寺も、門が開いていますと、ふらりとお参りをされることが多々なのです。

◆信仰の証

四国八十八ヶ所霊場をまわって、ご本尊の前で般若心経をお読みする。この行為は、ご本尊にお経を読んで奉納をするという意味を持ちます。写経をお納めした証として御朱印が、という形と同等なのです。

手を合わせるだけでも御朱印はお授けいただけるものですが、できるならご真言を唱える、心経一巻を読む等々はしたいものです。

私も書き置きのものをいただきます。お授けいただくにあたって、寺社仏閣の歴史に思いを馳せます。土地神様や諸仏への感謝と誓願をします。

◆陽岳寺の御朱印

陽岳寺では御朱印として墨書きさせていただいております。基本的には、本尊「十一面観世音菩薩」または三尊「十一面観世音菩薩、地蔵菩薩、毘沙門天」のどちらか。

ある時、絵の御朱印を描いてほしい、という方がいらっしゃいました。筆で絵を描く経験はまったくなかったのですが、そこから不思議と絵の御朱印のご縁が広がってまいりました。調べてみますとたくさんの神社仏閣にて、月替わりで用意があったり、ハンコが独特であったり、台紙が切り絵であったり、漫画家さんのようにイラストがきれいであったり、と奥深い世界であることが分かりました。

一度始めると終わらないもので、いまではレパートリーを増やせるようにと努めています。インスタグラムというSNSを見ると、多くの絵御朱印を知ることができて勉強しています。

◆絵の御朱印

どのような絵を描くか。たとえば令和6年は辰年ですので辰を描いています。「龍吟ずれば雲起こる」と禅語を添えています。

本山妙心寺法堂の龍雲図のように、寺院の壁や天井には龍が描かれます。仏法を守護する八部衆に龍がいるためです。

そんな龍がゴーと叫べば雲ができる。慈雨を降らせる雲を生じさせる。今年も良い年になりますように。またゴーと叫ぶ龍のような命を大いに活かす人間とならんとする願いも込められた「龍吟雲起」です。

または、お正月に地震があってからは、お地蔵さん、延命十句観音経そして「南無観」と、どうか世の中安穏たれという気持ちで書いています。奈良東大寺では本尊十一面観世音菩薩への悔過会が毎年行われます。以前ご縁があって一昼夜お参りしました。南無観、南無観と僧侶たちが勤める、千年以上続く不断の法要を思ったのです。

…というように、何かしらの書く意味を考えます。なんとなはなしに毎月違うデザインを描けばいいかなァ、ではないように意識をしています。

2月は他寺院の絵御朱印ではネコが多く見られました。陽岳寺の動物の絵御朱印であれば「涅槃図(ねはんず)」となるようにと考えます。なぜなら御朱印には信仰の証があり、仏教のはじまりとなった人間お釈迦さまがいて、神仏への感謝と誓願があるからです。いただく側も、授ける側も、無心が求められると思うのです。(住職)

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