【コラム】因果とご縁

投稿日:2024年9月2日 更新日:

お寺は昔から「ご縁をつなぐ」ことをしていました。

「住職さん、誰かいい人いませんか?」
「うちは子供の顔を見られないかもしれない。和尚さん、なんとかならない?」

お寺は、たくさんのご家族と、代々に渡るお付き合いをしています。家族構成も把握していて、ご自宅の中まで入っていく…。家族関係・友人関係を超えたお付き合いをしています。そこで昔から「縁談」を取り持つことがあったのです。
お寺での結婚式もできますし、夫婦となればいつかやってくる最期の時についても“縁起が悪い”ともならず話し合うことができる。「結婚」は、お寺の出番のひとつと言えるのです。
より多くの方のお助けになればと『門前仲町 下町結婚相談所』を運営しています。7月には無事に成婚をされたカップルが誕生しました。おめでたいことです。お見合いをして出会い、毎週のデートを経て、プロポーズ。彼らは現在、お互いのご両親へのご挨拶、同棲や婚姻届の提出に向けて、ふたりの時間を積み重ねています。
私自身も、本当にめったにないご縁をいただいたのだなと思っています。

◆因果と縁起

「あいつが悪いのよ!因果応報よ!」2時間ドラマで出てきそうなセリフですが、「因果」とは仏教語です。あわせて「縁」「縁起」についてもご紹介します。

《因果(いんが)》
因と果。現象が発生するためには、必ずいくつかの原因(因)があり、そこから一つの結果(果)が生ずる。
因を細別すれば、そこには直接原因(因)と間接原因(縁)があり、因果という時の因の中には直接(因)・間接(縁)のすべての原因が含まれる。(あわせて因縁とまとめることもある)
因と果との間には必然的な関係があり、これを因果の道理または因果の法則という。

《縁(えん)》
直接原因に対して、間接原因をさす。時には因と縁とを含めてその全体を縁の語でしめすこともある。

《縁起(えんぎ)》
① いかなる現象も種種の原因や条件によって起こるもので、もろもろの現象の生起消滅の法則を縁起という。
② 発祥建立の由来など。
③ (通俗的には)吉凶のきざし。

直接的な原因と間接的な原因があって、結果となる現象が発生する。バタフライエフェクトのように、なにがどのように因縁と結果のつながりになるかは分かりません。すべてを見通す智慧のある覚者なれば判断可能です。
お釈迦さまではない私たちにとっては、このような道理があるのだな、と理解すること。そして、自分の把握できていない因縁も結果に影響しているのだろうな、と慮ることがやっとかもしれません。
直接・間接原因の「因縁」をあわせて「因」とも「縁」とも言い、分かりやすくない間接原因を「縁」とも言う。
すべてを含んでの奥行きの「(因)縁」、分からなさをはらむ深い「縁」。軽々しく言いそうになってしまいますが、人生を分かっている人の「ご縁ですね」の一言には大変な趣深いところがあるのでしょう。

◆どうして成婚できたか

私自身もなぜ結婚相談所をはじめるに至ったのか不思議だなと思っています。友人のおかげなのですが、どうしてこうなったと。また、入会された方が半年でご自身の努力によってプロポーズまで進むことができたのも、すごいことだなとも。
振り返れば分からなさが目につきますが、直接の原因あってこそです。
ひとはひとりでは生きていけません。仕事でも、学校でも、誰かを助けたり助けていただいたり。物事を成し遂げたかったら、素直に頼ることは大切です。
頼る時は頼る。でも、執着はしない。
門前仲町 下町結婚相談所に入会された彼もそうでした。相談所のシステムをご存知の方がいらっしゃるかもしれません。全国9万人の会員名簿があり、いいなと思う人にお見合いの申し込みをします。
9万人の結婚をしたい気持ちを持っている方たち。その中で行動すれば、原則は進展しかしません。
年収。家族構成など情報がすべて出ているなかで調べて、申し込みをする。
無事にお見合いが成立したならば、実際にお会いして、波長があうか確認していく。また会いたいなと思えば、デートを継続していく。それだけです。
それだけなのですが、この「自分の行動」という直接原因を継続することがなかなか難しい。ここをお支えするのが私の役割わけですが…。
ご自身のお気持ちについて確認をする。お見合い打診をする際は1つ良いところを見つける。年齢差が無ければ会ってみる。お見合いやデートをしたら一つ一つどんな素敵なところがあったのか確認する。お相手からご遠慮されたら、助言を素直に聞いて、次に活かしていく。清潔感を大切にして、お相手を尊敬する振る舞いを欠かさない。
そこまで直接原因をやりきって、交際できた時に、できなかった時に「ご縁ですね」と言えるのかどうか。婚活に興味がある方はご連絡ください。責任を持って一緒に考えます。お気軽にご相談ください。(住職)

-お寺ブログ, 住職のつぶやき
-,

Copyright© 臨済宗妙心寺派 長光山陽岳寺ホームページ|虹の彼方に , 2024 AllRights Reserved Powered by micata2.